頭痛

■病気の頻度👑
・救急外来を受診した非外傷性頭痛のうち、片頭痛ではない良性頭痛と推定される症例は全体の45.4%24.3%片頭痛と診断された。
・多くは単純な鎮痛剤で治療され、83.8%が帰宅となった。
・救急外来を受診した非外傷性頭痛の患者の約7.1%が重篤な二次的原因を有し、くも膜下出血、脳卒中、腫瘍、くも膜下出血以外の頭蓋内出血/血腫、髄膜炎がそれぞれ約1%であった。
・神経学的所見のない救急外来患者でも約4.8%重篤な二次性頭痛の原因と診断された。

■Red flags(危険なサイン)🚩
・発熱、悪寒といった全身症状
意識障害、けいれん、麻痺といった神経症状
発症から1分以内にピークに達する激痛(雷鳴頭痛)
・50歳以降に初めて出現した新規頭痛
・これまで自覚してきた頭痛と性質が明らかに異なる

■考えるべきこと💡
神経症状の有無痛みがピークに達するまで何秒・何分かかったかが重要。ただし、神経症状が無くても、一瞬で激痛になった頭痛には重篤な病気がまぎれている。
・鎮痛薬で良くなったから、といって安心せず、速やかに医療機関(救急外来脳神経内科/外科等)を受診。
慢性的な頭痛の相談は、日本頭痛学会専門医による「頭痛外来」へ。

■文献
・Kelly AM, et al. Headache. 2021 Nov;61(10):1539-1552.
・Kelly AM, et al. Emerg Med Australas. 2025 Oct;37(5):e70138.
・Do TP, et al. Neurology. 2019 Jan 15;92(3):134-144.

目次

解説

■ 急な頭痛、実はどんな病気が隠れている?
突然の頭痛で救急外来を受診される方の多くは命に別条のない頭痛です。
海外の救急外来での調査データによると、怪我によるものを除いた頭痛で受診した方のうち、約45.4%緊張型頭痛などの命に別条のない良性頭痛であり、約24.3%が「片頭痛」と診断されています。
実際、受診された方の8割以上(83.8%)は鎮痛薬などの処方を受け、その日のうちに帰宅しています。

一方で、救急受診した頭痛患者さんの約7.1%に、重篤な原因が見つかっています。
臨床的に重要で鎮痛薬のような対症療法では済まされるべきでない原因には以下のような病気が挙げられます。
くも膜下出血(脳の表面の血管が破れる病気)
脳卒中(脳の血管が詰まったり破れたりする病気)
脳腫瘍(脳にできる腫瘍)
髄膜炎(ずいまくえん:脳や脊髄を包む膜に炎症が起きる病気)
これらはそれぞれ約1%前後の割合で含まれています

また「神経の不調(麻痺やしびれなど)が見られない」場合であっても、約4.8%に重篤な原因が隠れていたという報告があります。
つまり、「手足が動くから大丈夫」とは言い切れないのが頭痛の難しさです。

■ 見逃してはいけない!頭痛の「危険なサイン(Red flags)」
医療の現場では、急いで精密検査や治療が必要な頭痛の兆候を「Red flags(レッドフラッグス:危険なサイン)」と呼んでいます。
もし以下のような症状が見られる場合は、迷わず医療機関を受診してください。
全身の症状を伴う
発熱やぞくぞくする寒気など、風邪のような症状とともに強い頭痛がある場合。
神経の症状を伴う
意識がもうろうとする、けいれんが起きる、手足に力が入りにくい・痺れる、うまくしゃべれないなどの症状がある場合。
発症から1分以内にピークに達する激痛(雷鳴頭痛)
「バットで殴られたような」「一瞬で人生最大の激痛に襲われた」と感じるような頭痛は臨床的に重要なため「雷鳴頭痛」という医学用語で説明され、くも膜下出血などの強いリスクを示唆します。
50歳以降に初めて現れた新しい頭痛
これまで頭痛持ちではなかった方が、50歳を過ぎてから初めて頭痛を感じるようになった場合。
いつもの頭痛と明らかに性質が異なる
普段から片頭痛などがある方でも、「いつもの痛みのパターンと違う」「痛み方が変わった」と感じる場合。

■ 受診のポイントは「急性か、慢性か」
頭痛が起きたとき、私たちが確認したい重要なポイントは「神経の症状の有無」「痛みがピークに達するまでの時間」です。
とくに痛みが一瞬でピークに達した場合は、たとえ手足の麻痺や意識障害がなくても、脳の重大な病気が隠れている可能性が考えられます。

また市販の鎮痛薬(痛み止め)を飲んで痛みが和らいだとしても、それは薬で痛みを抑えているだけで「治った」訳ではありません。
少しでも「いつもと違う」「危険なサインに当てはまる」と感じたら、市販薬で様子を見続けず、速やかに医療機関(脳神経内科、脳神経外科、または救急外来など)を受診することをおすすめします。

ここまで話してきた急性発症の頭痛ではなく、いわゆる持病の慢性的な頭痛に悩まされている方は、救急外来ではなく、日本頭痛学会専門医による「頭痛外来」に相談する方が幅広い治療を検討できるでしょう。

■ まとめ
頭痛の多くは日常生活の中で起こる日常的なものですが、ごく稀に命に関わる病気のシグナルである可能性があります。
急性発症の頭痛は「痛みの強さ」だけでなく、「痛みが一瞬で強くなったか」「普段とどう違うか」に注目することが大切です。
ご自身の直感を大切にし、不安な変化を感じたときは無理をせず、医師による診察および画像検査(CTやMRIなど)を受けることが、早期発見と適切な治療への一番の近道です。

注意点・免責事項
本記事は一般的な情報提供を目的としており、医師の診断や治療に代わるものではありません。個別具体的な症状については、必ず医療機関にご相談ください。

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