脂質異常症

■頻度とリスクについてのデータ💻
血清 LDLコレステロール値が 160 mg/dl 以上の者の割合は 8.1%であり、男女別にみると、男性 6.2%、女性 9.5%である(2024年)。
・20歳以上の男女の高トリグリセライド血症(血清トリグリセライド値150 mg/dL以上)の有病率は男性 42.4%、女性 28.4%である(2019年)。
・血清LDLコレステロール値上昇は、冠動脈疾患(狭心症、心筋梗塞)と脳梗塞の発症の危険因子である。

■注目すべきポイント💡
・最注目すべき数値はLDLコレステロール
・中性脂肪が高い場合やHDLコレステロールが低い場合は、肥満や炭水化物・脂肪の過剰摂取、運動不足といった要因が関連していることが多い。

■治療💊
・まずは生活習慣(食習慣、運動習慣、禁煙等)の見直しに数カ月間つとめてみる。
・直ちに薬物治療開始とはならず、様々な背景を総合的に評価して決める。例えばすでに心血管疾患(冠動脈疾患や脳卒中)をもっている方は厳密に管理する必要がある。
・目標値は個人で異なり少し複雑なので医師に相談する。

■文献📚
・厚生労働省. (2024). 令和6年国民健康・栄養調査結果の概要. 厚生労働省.
・藤吉朗, 他. 2023年改訂版 冠動脈疾患の一次予防に関する診療ガイドライン. 日本循環器学会; 2023.
・日本動脈硬化学会, 編集. 動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版. 東京: 日本動脈硬化学会; 2022.
・Imamura T, et al. Stroke 2009; 40: 382-388.
・Okamura T, et al. Atherosclerosis 2009; 203: 587-592.

目次

解説

健康診断の結果を受け取って「要指導」や「要再検査」の欄に「脂質異常症」という文字はありませんか。
「特にどこも痛くないし、体調も悪くないのに…」と戸惑う方も少なくありません。

脂質異常症は、自覚症状がほとんどないまま進行することが多いため、「中性脂肪とコレステロールが多いのねー」と確認するだけで放置されがちです。
しかし、脂質異常症は重大な病気の発症リスクを高めることが知られています。
この記事では、健康診断で注目すべき数値の意味や、今日から始められる生活習慣の見直しについて、専門的なデータを交えながら分かりやすく解説します。

■最注目すべきは「LDLコレステロール」🍤
一般的に「悪玉コレステロール」とも呼ばれるこの脂質は、増えすぎると血管の壁に溜まりやすくなる性質があります。

2024年の厚労省の国民健康・栄養調査において血清LDLコレステロール値が「160 mg/dl以上」と高めの値を示した人の割合は、全体で8.1%にのぼります。
私は多いなぁと思いますが、皆さんはどう思いますか。

血清LDLコレステロール値の上昇は、「冠動脈疾患(狭心症や心筋梗塞など、心臓の血管が詰まる病気)」「脳梗塞」を発症する主要な危険因子(リスクを高める原因)と言われています。

■LDLコレステロールが重要視される理由👀
健康診断の用紙には、LDLコレステロールのほかにも「トリグリセライド(中性脂肪)」「HDL(善玉)コレステロール」という項目があります。これらの数値の異常も脂質異常症なので無視することはできません。

脂質異常症の治療において、トリグリセリドやHDLコレステロールよりも、LDLコレステロール(悪玉)の管理が最優先される最大の理由は、「数値を下げることで心筋梗塞や心臓突然死などの心血管イベントを確実に防ぐことができる」という科学的根拠(エビデンス)の強さに圧倒的な違いがあるためです。

場合によってはLDLコレステロール以外の数値異常でも精査の対象になるので医師に相談しましょう。

■お薬はすぐ飲むの?知っておきたい治療と受診の目安💊
「脂質異常症」と聞くと、「すぐに強い薬を飲み続けなければいけないのだろうか」と身構えてしまう方もいるかもしれません。しかし、多くの場合、健診で数値が高かったからといって直ちに薬物治療が開始されるわけではありません。

一般的な治療の流れとしては、まずは数ヶ月間、食事内容の改善や運動習慣の定着、禁煙といった生活習慣の見直しにじっくりと取り組んでみることが基本となります。

ただし、お薬が必要かどうかの判断や、目指すべき数値の目標値は、個人の状態によって大きく異なります。例えば、過去にすでに心血管疾患(冠動脈疾患や脳卒中など)を患ったことがある方の場合は、再発を防ぐために最初から厳密な数値管理や薬物治療が検討されることがあります。他にも、年齢や喫煙歴、血圧、血糖値といった様々な背景を総合的に評価して治療方針が決まります。

目標値の設定は少し複雑で個人差があるため、自己判断で「これくらいなら大丈夫」と思わず、まずは医師に相談して自分に合ったプランを立ててもらうことが大切です。

■まとめ
脂質異常症は、初期には痛くも痒くもないため、「次の健診まで様子を見よう」と先送りにしがちです。しかし、数値の異常に早く気づけたこと自体が、将来の健康を守る大きなチャンスと言えます。
まずは数ヶ月間、バランスの良い食事や軽い運動を意識してみましょう。そして、数値が気になる場合や、どのように改善すべきか迷ったときは、一人で悩まずに医療機関を受診し、専門医のアドバイスを受けることをお勧めします。

注意点・免責事項
本記事は一般的な情報提供を目的としており、医師の診断や治療に代わるものではありません。個別具体的な症状については、必ず医療機関にご相談ください。万が一、激しい胸の痛みなど緊急を要する症状がある場合は、直ちに救急車を要請してください。

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