■ 頻度とリスクのデータ💻
・2017年のデータでは日本の成人の約3人に1人が高血圧症を有する。
・血圧120/80 mmHg未満と比較して、中年者(40-64歳)と前期高齢者(65-74歳)では血圧120/80 mmHg以上、後期高齢者(75-89歳)では140/90 mmHg以上で、冠動脈疾患(狭心症や心筋梗塞)による死亡リスクが増大。
→血圧が高いと心疾患で死亡する危険性が高い。
■ 家庭血圧の正しい測方と管理目標
・朝と夕、毎日同じ時間に測定し、診察時にメモした日々の測定記録を渡す。
・血圧の管理目標については表をご参照ください。
■ 医療機関への相談タイミングと生活の工夫🚶➡️
・「血圧が高め」と気づいたら、まずは医療機関(循環器内科や一般内科など)で医師の診察を受ける。
・日常生活では、減塩と適度な運動を意識する。
■文献📚
・日本高血圧学会高血圧治療ガイドライン作成委員会, 編. 高血圧治療ガイドライン2019. ライフサイエンス出版; 2019.
・Fujiyoshi A, et al. Hypertens Res. 2012 Sep;35(9):947-53.
・日本高血圧学会高血圧管理・治療ガイドライン委員会, 編. 高血圧管理・治療ガイドライン2025. ライフサイエンス出版; 2025.
・厚生労働省. 各種健康統計・国民健康・栄養調査結果の概要.
解説
「健康診断で血圧が高めと言われたけれど、体調はどこも悪くないから大丈夫」
「血圧を下げるために、まず何から始めればいいのだろう……」
悩んでいるあなた。高血圧症の管理は超重要です!!
高血圧症は初期にはこれといった自覚症状がないまま、体の奥で静かに進行していく特徴があります。
「症状がない=健康で問題ない」とは限らないのが、血圧管理の難しいところです。
この記事では、なぜ症状がなくても早めの対策が必要なのか、という理由から、家庭での正しい血圧の測り方、そして医療機関に相談するタイミングまで、専門的な知見を分かりやすく噛み砕いて解説します。
ご自身のこれからの健康を守るための、安心できる一歩を一緒に見つけていきましょう。
■なぜ「症状がないのに」対策が必要なのか?
日本高血圧学会の推計データによると、日本における高血圧の基準に該当する人は約4,300万人にのぼると言われています。
これは、日本の成人の約3人に1人が該当する割合であり、決して他人事ではない身近な問題です。
血圧が高い状態が長期間続くと、血管へ持続的に強い負担がかかり続けます。
これを分かりやすく例えるなら、水道ホースの内側から常に強い水圧がかかり続けているような状態です。
強い圧力を受け続けたホースが次第に傷み、硬くなっていくのと同じように、人間の血管も弾力性を失って硬く、脆くなっていき、この血管が硬くなった状態を「動脈硬化」と呼びます。
動脈硬化が進行しても、初期の段階では痛みや違和感などの自覚症状はほとんどありません。
しかし、血圧が高い状態をそのまま放置してしまうと、将来的に脳卒中(脳の血管が詰まったり破れたりする病気)や心疾患(心臓の血管が詰まって起こる心筋梗塞など)といった、命に関わる重大な病気を引き起こすリスクを高める大きな要因の一つになると言われています。
症状がないからと見過ごさず、今のうちからご自身の血圧値と向き合うことが、数年後・数十年後の健やかな未来を大きく左右する可能性があるのです。
■ 家庭血圧の正しい測り方と「注意すべき数値」
ご自身の血圧の正確な状態を知るためには、健康診断や病院での測定だけでなく、ご自宅でリラックスしているときに測る「家庭血圧」を把握することが非常に大切であると考えられています。
医療機関で血圧を測ると、お医者さんや看護師さんを前にして緊張してしまい、普段よりも一時的に数値が高くなってしまうことがあります。この現象を「白衣高血圧」と呼びます。
逆に、病院では正常な数値なのに、自宅や職場にいるときは高くなっている「仮面高血圧」というケースもあります。そのため、より普段の生活に近い環境での数値を定期的におさえることが重要視されているのです。
💡 血圧測定の方法
日本高血圧学会のガイドラインでは、家庭での正しい測定タイミングや環境として、以下のような具体的なポイントを推奨しています。
朝の測定: 起床後1時間以内、トイレを済ませた後、朝食や朝のお薬を飲む前に、1〜2分ほど椅子に座って安静にしてから測定。
夜の測定: 就寝の直前、座って安静にしてから測定(入浴や飲酒の直後は血圧が変動しやすいため避ける)。
🚨血圧管理目標
年齢、また糖尿病、慢性腎臓病、蛋白尿、冠動脈疾患、脳血管疾患の有無によって変わります。
原則として、75歳未満の成人、およびハイリスク合併症を持つ症例では 130/80 mmHg 未満(家庭血圧 125/75 mmHg 未満)が標準的な目標となります。日本高血圧学会が推奨している管理目標の詳細を●●リンク別ページに記載するので参考にしてみてください。
| 対象患者の背景 | 診察室血圧目標 (mmHg) | 家庭血圧目標 (mmHg) | 臨床上の留意点・エビデンス |
| 75歳未満の成人(特記すべき合併症なし) | <130/80 | <125/75 | 脳心血管病予防のため、忍容性があればこのレベルまでコントロールする。 |
| 糖尿病合併 | <130/80 | <125/75 | 脳卒中・心血管イベントに加え、微小血管症(網膜症・腎症)の抑制に必須。 |
| 慢性腎臓病(CKD)※蛋白尿陽性 | <130/80 | <125/75 | 腎保護効果および心血管イベント抑制のため、ACE阻害薬/ARBを第一選択として厳格に管理する。 |
| 慢性腎臓病(CKD)※蛋白尿陰性 | <140/90 | <135/85 | まず140/90 mmHg未満を目指すが、耐容性があれば 130/80 mmHg 未満も考慮する。 |
| 冠動脈疾患(CAD)合併 | <130/80 | <125/75 | 冠血流維持のため過降圧(特に拡張期過降圧 <60 mmHg)に留意する。 |
| 脳血管障害既往(慢性期) | <130/80 | <125/75 | 再発予防効果が極めて高い。ただし、両側内頸動脈高度狭窄や主幹脳動脈閉塞がある場合は個別に判断。 |
| 75歳以上の高齢者 | <140/90(推奨: <130/80) | <135/85(推奨: <125/75) | 最新の潮流(STEP/SPRINT等): 耐容性(ふらつき、起立性低血圧、腎機能悪化がないこと)を確認しつつ、段階的に 130/80 mmHg 未満を目指すことが強く推奨される。 |
■医療機関への相談タイミングと日常生活で意識したい工夫
高血圧の適切な管理や治療は、医師による正確な診断のもとで進められます。
ここで紹介は省きますが、生活習慣とは関連なく、全く別の疾患が原因で血圧が上がってしまっていることもあります。
「まだ若いから」「これくらいなら大丈夫だろう」とウェブの情報だけで解決しようとせず、プロの診断を仰ぐことが大切です。
👉受診時のポイント
数日〜1週間ほど朝晩の血圧をメモして持参すると、医師が日々の変動パターンを把握しやすくなり、より的確なアドバイスを受けやすくなります。
👉生活習慣の見直し
また医療機関での適切な治療(必要に応じた降圧薬の処方など)を補完し、血圧の上昇を抑えるために日常生活で食事と運動について意識してみましょう。
・減塩の工夫: 日本人は塩分を摂りすぎる傾向があるとされています。お味噌汁を具だくさんにして汁の量を半分に減らす、レモンやカボスなどの果汁、お酢、スパイス、昆布や鰹節の出汁(だし)の旨味を活用して醤油や塩の量を減らすなど、無理のない範囲から始めることが期待できます。
・適度な運動の継続: ウォーキングなどの軽い有酸素運動を定期的に行うことは、血管を広げやすくし、血圧を下げる効果が期待できると言われています(※ただし、すでに血圧が著しく高い場合などは運動がかえって身体に負担となるリスクもあるため、必ず事前に医師へご相談ください)。
■ まとめ
高血圧症は、自覚症状がないまま静かに進行するため、つい対策を後回しにしてしまいがちです。しかし、早期に現状の血圧を正しく把握し、適切な管理を始めることこそが、未来の健やかな生活を守るための大きな鍵となります。
「少し血圧が高めかもしれない」と気づくことは、ご自身の体を労り、見つめ直す絶好のチャンスです。
自己判断で放置したり、サプリメントなどだけに頼って解決しようとしたりせず、まずはかかりつけ医や専門の医療機関に相談し、適切なアドバイスを受けることから始めてみましょう。
注意点・免責事項
本記事は一般的な情報提供を目的としており、医師の診断や治療に代わるものではありません。個別具体的な症状については、必ず医療機関にご相談ください。


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