高尿酸血症

■頻度に関するデータ💻
・健康診断において未治療高血圧男性に高尿酸血症が合併する頻度16.8%と言われている。
・高血圧専門外来に通院する高血圧患者における高尿酸血症(尿酸値>7.0mg/dLまたは尿酸降下薬服用者)の頻度男性で40.6%、女性で8.6%であった。

■尿酸値を適切に管理するメリット🍺
・尿酸値を目標値(<6.0 mg/dL、結晶量が多い重症例では<5.0 mg/dL)まで下げることで、痛風発作を有意に抑制することができる。
・痛風発作や尿路結石の予防のほか、慢性腎臓病の伸展抑制、心血管イベント(心筋梗塞/狭心症や脳卒中)の発症リスク低減の可能性。
・適切な尿酸値の管理で収縮期血圧が3.45mmHg、拡張期血圧が2.02mmHg低下するという報告がある。

■考えるべきこと💡
・高血圧症や脂質異常症と並ぶ生活習慣病なので食習慣や運動習慣を見直す。
・痛風発作だけでなく、全身の血管や臓器(心臓・腎臓など)にダメージを与えうるので、内科を標榜している病院やクリニックで治療を要するか判断が必要。

■文献📚
・Kuwabara M, et al. Hypertens Res. 2014 Aug;37(8):785-9.
・榊美奈子他, 降圧薬服用者における尿酸管理の現状. 痛風と核酸代謝. 37 2,p.103-109.
・Doherty M, et al. Lancet. 2018 Oct 20;392(10156):1403-1412.
・Kanji T, et al. BMC Nephrol. 2015;16:58.
・Goicoechea M, et al. Am J Kidney Dis. 2015
・White WB, et al. N Engl J Med. 2018;378(13):1200-1210.

目次

解説

日常の健康診断で「血圧が高めですね」「尿酸値が上がっていますよ」と言われた経験はありませんか?
「痛風で足が痛くならなければ大丈夫」「血圧の薬だけ飲んでいれば安心」と思いがちですが、実は高血圧と高尿酸血症(尿酸値が高い状態)は、お互いに深く関わり合っていることがわかっています。

「数値が高いと言われたけれど、どう改善すればいいの?」「痛みがなくても病院に行くべき?」と不安を感じている方へ。
この記事では、高血圧と尿酸値の関係性、数値をコントロールするメリット、そして日常生活で気をつけたいポイントを分かりやすく解説します。

■ 高血圧と高尿酸血症(尿酸値が高い状態)の切っても切れない関係
「血圧」と「尿酸値」は、一見すると全く別の問題のように思えますよね。
しかし、実際にはこの2つが同時に起こるケースは決して珍しくありません。

健康診断のデータによると、まだ高血圧の治療を開始していない男性のうち、約16.8%(およそ6人に1人)に高尿酸血症が合併していると言われています。
さらに、高血圧の専門外来に通院している患者さんを対象とした調査では、男性の40.6%(およそ10人に4人)、女性の8.6%に高尿酸血症(血液中の尿酸値が7.0mg/dLを超えている、またはすでに尿酸を下げるお薬を飲んでいる状態)が見られました。

❓なぜ高血圧と尿酸値は一緒に上がりやすいのか。
そこには複雑なメカニズムがありますが、簡単に言えば大きな理由は、「血管への負担」と「共通の生活習慣」にあります。
尿酸値が高い状態が続くと、体内の塩分や水分を調整して血圧をコントロールしている「腎臓」に負担がかかりやすくなります。
すると血圧が上がりやすくなり、高血圧によって腎臓の血管に負担がかかると、尿酸を尿として外に排出する力が弱まり、血液中に尿酸が溜まりやすくなるという悪循環が生じるのです。
つまり、高血圧と高尿酸血症にはお互いに影響を与え合いながら進んでいくという側面があります。

■ 尿酸値を適切に管理するメリット:痛風予防と血圧への好影響
「尿酸値が高い=痛風(関節に激痛が走る病気)」というイメージが強いかもしれません。
確かに痛風発作は非常に辛いものですが、尿酸値をしっかりコントロールするメリットは、単に「痛みを防ぐ」ことにとどまりません。

一般的に、血液中の尿酸値の目標は「6.0mg/dL以下」(体内に尿酸の結晶が多く溜まっている重症例では「5.0mg/dL以下」)とされています。この目標値まで尿酸値を下げることで、以下のような多くのメリットが期待できます。

1.痛風発作や尿路結石の予防
血液中に溶けきれなくなった尿酸は結晶化し、関節や尿路(尿の通り道)に溜まります。尿酸値を目標値までコントロールすることで、激しい痛みを伴う痛風発作や、背中・腹部に激痛を起こす「尿路結石」の発症を有意に抑えることができます。

2.慢性腎臓病の進行抑制と心血管イベントのリスク低減
尿酸の結晶が腎臓に溜まるのを防ぐことで、腎機能が持続的に低下する「慢性腎臓病」の進行を抑える可能性が期待できます。さらに、心筋梗塞や狭心症、脳卒中といった重篤な「心血管イベント」の発症リスク低減にもつながると考えられています。

3.血圧のコントロールにも良い影響が期待できる
研究報告によると、尿酸値を適切に管理することで、上の血圧(収縮期血圧)が約3.45mmHg、下の血圧(拡張期血圧)が約2.02mmHg低下したというデータもあります。尿酸値を整えることは、血圧の適切な管理をサポートする上でも意味を持っています。

■ 今日から考えるべきこと:生活習慣の見直しと医療機関へのご相談
高尿酸血症は、高血圧症や脂質異常症(コレステロールや中性脂肪が高い状態)と並ぶ「生活習慣病」の一つです。
数値の改善に向けて、まずはご自身の毎日の習慣を見直してみましょう。

【日常生活で意識したい3つのポイント】
1.食生活のバランスを整える
アルコール(特にビールなど)の飲み過ぎや、プリン体(レバーや一部の魚介類など)を多く含む食品の摂り過ぎに注意しましょう。
また、清涼飲料水などに含まれる果糖の摂り過ぎも尿酸値を上げる要因になります。

2.しっかり水分を補給する
お水やお茶などを意識して摂ることで、尿の量が増え、体内から尿酸が排出されやすくなります(※心臓や腎臓の病気で水分制限を指示されている方は、必ず医師の指示に従ってください)。

3.適度な有酸素運動を取り入れる
ウォーキングや軽めのジョギングなどの有酸素運動は、血圧と尿酸値の両方に良い効果をもたらします。
しかし一方で、急激な筋トレや激しい運動は一時的に尿酸値を上げてしまうことがあるため、無理のないペースで行いましょう。

🚨痛みがなくても「内科」を受診しましょう
「激しい痛みが起きていないから放置しても大丈夫」と考えてしまうのが、高尿酸血症の最も注意すべき点です。
自覚症状がない間も、全身の血管や大切な臓器(心臓や腎臓など)には少しずつダメージが蓄積している可能性があります。

健康診断で尿酸値や血圧の指摘を受けた場合は、自己判断で放置せず、まずは内科を標榜している病院・クリニックで詳しい検査を受け、治療が必要かどうかを相談してみましょう。

■ まとめ
高血圧と高尿酸血症は、お互いに影響し合って進行する「静かな生活習慣病」です。
痛風発作の予防はもちろんのこと、血圧の適切なコントロールや、将来的に心臓・腎臓・脳などの大切な臓器を守るためにも、早い段階からのケアが重要です。
日頃の食事や運動習慣を見直すとともに、健康診断で再検査や経過観察の判定が出た方は、安心して健康な毎日を過ごすための大切なステップとして、ぜひ一度お近くの内科を受診してみてください。

注意点・免責事項
本記事は情報提供を目的としており、医師の診断や治療に代わるものではありません。個別具体的な症状については必ず医療機関にご相談ください。

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