健診結果の紙に「尿酸値 高値」と書かれていた。あるいは、痛風発作を経験したあとに「高尿酸血症です」と説明された。そう言われても、次に何を考えればいいのか、戸惑うのではないでしょうか。
高尿酸血症は、痛風発作を起こす原因になるだけでなく、血管や腎臓への負担、血圧との関連も指摘されています。ただし「尿酸を下げれば、それらを防げる」と言い切れる段階にはまだありません。
この記事では、いま分かっている範囲を、学会のガイドラインと原著論文をもとに整理します。
この記事の要点
- 痛風患者は約125万人、高尿酸血症の人は約1,000万人と推計されている。
- 高尿酸血症は痛風発作の原因になるだけでなく、血管や腎臓への負担との関連が指摘されている。ただし尿酸そのものが原因かどうかは、まだ議論が続いている。
- 高血圧との合併は多く、ある報告によれば高血圧の専門外来では男性の約4割、女性の約1割が高尿酸血症を合併。ただし薬で尿酸を下げても、血圧がすぐに下がるわけではないこともランダム化比較試験で示されている。
- プリン体(尿酸のもとになる物質)は「厳密に避ける」より「多く含む食品(レバー類・干物など)を控えめにする」のが実際的。アルコールは量だけでなく種類(ビール・発泡酒は他の酒類よりリスクが高い)にも注意。
- 受診の目安:急に関節が激しく痛み、赤く腫れてきたとき(多くは足の親指の付け根)は、痛風発作の可能性がある。自己判断で我慢し続けず、早めに医療機関へ相談することが推奨される。
それぞれ、順を追って説明します。
高尿酸血症の頻度
まず、これがどれくらいありふれたことなのかを見ておきます。
日本痛風・尿酸核酸学会のガイドラインによると、2019年の国民生活基礎調査に基づく推計で、痛風患者数は約125万人、高尿酸血症の人は約1,000万人とされています。決して珍しい状態ではありません。
成人男性における高尿酸血症の頻度は、1960年代の約5%から、70〜90年代にかけて約20%程度まで、時代とともに増えてきた経緯があります。食生活の変化が背景にあるとされていますが、この増加傾向はあくまで過去の推移であり、直近の実測値を示すものではないことは付け加えておきます。
もう一つ知っておきたいのは、高尿酸血症の位置づけです。2020年から実施されている循環器病対策推進基本計画では、高尿酸血症は循環器疾患のリスクとなる生活習慣病の一つとして挙げられています。つまり、痛風発作だけを心配していればよい状態ではない、という見方が国の対策のなかにも反映されているということです。
では、痛風発作以外に、具体的にどんなことが指摘されているのでしょうか。次の章で見ていきます。
痛風発作だけではないリスク — 血管と腎臓への負担

高尿酸血症というと痛風発作のイメージが強いですが、それ以外にも指摘されていることがあります。
血管への負担との関連
高尿酸血症は、高血圧・心房細動(脈が不規則になる不整脈の一種)・慢性腎臓病・心不全・冠動脈疾患・心血管死などとの関連が、複数の総説(それまでの研究をまとめて整理した論文)で指摘されています。
一方で、これをそのまま「尿酸が原因でこれらの病気が起きる」と読むのは早計です。日本痛風・尿酸核酸学会のガイドライン自体が、「血清尿酸値が高いほど心血管疾患の発症率が高いことは疫学的に示されるが、尿酸そのものが原因かどうかは議論が続いている」と明記しています。学会のガイドラインがここまで慎重な書き方をしている以上、この記事でも「〜と関連が指摘されている」という水準にとどめ、「〜が原因で起こる」とは書きません。
腎臓への負担との関連
慢性腎臓病(CKD、腎臓の働きが慢性的に低下した状態)に高尿酸血症が高い頻度で合併することは知られています。しかし、尿酸を下げる薬がCKDの進行を抑えるかどうかについては、日本人を対象にしたランダム化比較試験でも明確な差が出ておらず、断定できていません。実際、学会のガイドラインもこの点について、「腎機能低下を抑制する目的で尿酸降下薬を用いることを条件つきで推奨する」という、慎重な位置づけの推奨にとどめています(推奨を支えるエビデンスの強さも「中程度」とされています)。
「痛風発作だけの病気ではない」という関連は複数の研究で示されている一方で、「だから尿酸を下げる薬を使えば血管や腎臓を守れる」というところまでは、現時点の研究では言い切れていません。
高血圧との関連
高尿酸血症は、血圧とも関係があることが分かっています。
まず機序(体の中でどう起きるかという仕組み)から説明します。肥満やインスリン(血糖を下げるホルモン)の効きにくさがあると、尿酸が作られやすくなると同時に、腎臓でナトリウムが再吸収されやすくなります。これが尿酸の排泄を妨げて高尿酸血症をきたす一方、ナトリウムの再吸収が進むこと自体が体内の水分量を増やし、交感神経の働きを高めて、血圧の上昇にもつながると考えられています。
実際の合併頻度も高く、高血圧の専門外来を受診している患者では、高尿酸血症を合併している割合が男性40.6%、女性8.6%にのぼるという報告があります。日本人労働者85,286人を対象にした研究でも、年齢や生活習慣など他の要因の影響を取り除いた解析で、高尿酸血症がある人は高血圧のオッズ(なりやすさを表す指標)が男性で1.33倍、女性で1.81倍高く、尿酸値が高い人ほど血圧も高い傾向がみられました。前向きコホート研究25本・約98,000人分のデータをまとめたメタ解析でも、高尿酸血症がある人はその後の高血圧発症リスクが高いという関連が示されており、尿酸値が1mg/dL上昇するごとに、新規に高血圧を発症するリスクが1.15倍(15%前後)高くなるという結果が報告されています。
ここまでの内容は、いずれもコホート研究・横断研究・メタ解析といった観察研究によるものです。「高尿酸血症の人は高血圧になりやすい」という関連は、繰り返し示されています。しかし、これは「尿酸が血圧を上げる」という因果関係そのものを証明したものではありません。
そして、ここからが大事な点です。薬で尿酸を下げても、血圧がすぐに下がるわけではないことも、ランダム化比較試験で示されています。過体重・肥満の成人を対象にした二重盲検プラセボ対照試験(薬とプラセボ〈偽薬〉のどちらを飲んでいるか、患者にも医師にも分からないようにして比較する試験)では、8週間の投与で血清尿酸値はしっかり下がったものの、24時間の収縮期血圧に意味のある変化はみられませんでした。
学会のガイドラインも、高尿酸血症を合併した高血圧の人に対して、生命予後や心血管病のリスクを減らす目的での尿酸降下薬の使用は、積極的には推奨できないとしています。この推奨を支えるエビデンスの強さは「非常に弱い」と評価されており、現時点でここまでしか言えない、という学会の立場そのものが読み取れます。
つまりこの章で伝えたいのは、「高尿酸血症の人は高血圧になりやすいという関連が観察研究で繰り返し示されている」ことと、「尿酸を薬で下げれば血圧が下がる、とまでは言えない」ことは、分けて理解する必要がある、という点です。薬による介入の効果がはっきりしない部分がある一方で、次に説明する生活習慣の見直しは、血圧・尿酸値の両方に関わる要因に働きかけられます。

すでに高血圧と診断されている方は、高血圧そのものについて整理した記事もあわせてご覧ください。
急な関節の痛み・腫れ
ここまでは、時間をかけて進む可能性のある負担について説明してきました。一方で、急に起こる症状もあります。
痛風発作は、急性の単関節炎(一つの関節に起きる急な炎症)です。治療をしない場合、最初の3日間は痛みの強さがほとんど変わらず、7日経っても大半の人で痛みが続くとされています。もっとも多い罹患部位は、足の親指の付け根(第一中足趾節関節)で、国際的な痛風分類基準の研究でも、この関節が痛風症例のなかでもっとも多い関節パターン(39.4%)として報告されています。
急に関節が激しく痛み、赤く腫れてきたとき(多くは足の親指の付け根)は、痛風発作の可能性があります。自己判断で我慢し続けず、早めに医療機関へ相談することがすすめられます。
痛風発作を繰り返している場合や、発作の経験がなくても健診で尿酸値の高さを指摘され続けている場合も、一度相談してみる価値があります。
生活習慣の見直しと食習慣の注意点
ここまでの内容を踏まえて、日常生活で見直せる点を整理します。
プリン体
プリン体は、1日400mgを超えないようにするのが実際的な目安です。学会のガイドラインも「厳密な低プリン食を毎日摂ることはまず不可能に近い」と明記しており、プリン体を多く含む食品を極力控える、という現実的な考え方が示されています。
プリン体を極めて多く含む食品(100gあたり300mg以上)には、鶏レバー・干物(マイワシ)・白子などがあります。多く含む食品(同200〜300mg)には、豚レバー・牛レバー・カツオなどが挙げられます。一方、野菜類・穀類・卵・乳製品に含まれるプリン体は少なめです。
ここで一つ注意しておきたいことがあります。食習慣とリスクの関連を調べたメタ解析では、プリン体を多く含む野菜は、痛風のリスクを上げない方向の結果が出ています。「野菜のプリン体も、動物性食品と同じように制限すべきだ」とは言えません。
アルコール
アルコールの目安は、日本酒1合・ビール350〜500mL・ウイスキー60mL程度とされています。
ここで大事なのは、量だけでなく種類にも注意が必要だということです。英国バイオバンクの40万人超を追跡した調査では、飲酒量が多いほど痛風のリスクは上がり、そのなかでもビール・サイダー(発泡性のリンゴ酒)が、他の酒類より痛風のリスクを高めたという結果が報告されています。別のメタ解析でも、アルコール摂取は痛風・高尿酸血症のリスクと関連しており、いずれもオッズ比は2倍を超えていました。
果糖・清涼飲料水
果糖を多く含む甘味飲料や果物ジュースは控えるよう、学会のガイドラインが明記しています。メタ解析でも、果糖の摂取は痛風のリスクとの関連が示されています。
ただし、「果物は一律に避けるべきだ」ということではありません。果物由来の果糖と、清涼飲料水由来の果糖を区別して考える研究もあり、この記事では学会のガイドラインの表現にならって「甘味飲料・果物ジュースは控えめに」というところにとどめます。
そのほかの食習慣
食習慣と痛風リスクの関連を調べたメタ解析の結果をまとめると、次の表のようになります。
| 食品・習慣 | 痛風リスクとの関連(オッズ比) |
|---|---|
| アルコール | 2.58(リスク上昇) |
| 果糖 | 2.14(リスク上昇) |
| 海産物 | 1.31(リスク上昇) |
| 赤肉 | 1.29(リスク上昇) |
| 大豆食品 | 0.85(リスク低下) |
| 乳製品 | 0.56(リスク低下) |
| コーヒー | 0.47(リスク低下) |
オッズ比が1より大きいほどリスクが上がる方向、1より小さいほどリスクが下がる方向の関連を示しています。乳製品やコーヒーがリスクを下げる方向の結果になっている点は、意外に感じられるかもしれません。
運動・飲水
運動については、嫌気性代謝閾値(軽く息が上がる程度の強度の目安)の40〜50%程度の有酸素運動が推奨されています。無酸素運動やレジスタンス運動(筋トレなど)は、かえって尿酸値を上げやすいとされているため、注意が必要です。
飲水については、1日の尿量が2,000mL以上になることを目標に、水分を摂ることがすすめられています。
受診前の状況整理
次の受診では、次のことを伝えると話が早く進みます。
診察室で伝えておきたいこと
- これまでの尿酸値の推移(健診結果を複数回分)。病型の分類や治療方針の判断は、一時点の数値だけでなく、経過を踏まえて行われます。
- 痛風発作の有無・頻度、および高血圧・腎臓の病気・心血管疾患の有無。学会のガイドラインでも、腎障害や高血圧の合併状況によって、尿酸降下薬の位置づけが変わることが示されています。
- 飲酒の量と種類、清涼飲料水・果物ジュースの摂取状況。種類による影響の差(ビール・サイダーなど)や、果糖の影響がこの記事でも取り上げた内容です。
このほか、本人がいちばん気にしていること——痛風発作の再発が怖い、薬を続けたくない、など——は、話してもらえないと医師には伝わりません。
この記事だけで自己判断をしないでください。生活習慣の見直しで様子をみるか、薬による治療を検討するかは、あなたの状況を知っている医師と一緒に決めるものです。
出典
出典の選び方については編集方針をご覧ください。
- 一般社団法人日本痛風・尿酸核酸学会ガイドライン改訂委員会(編). 高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン 第3版[2022年追補版]. 診断と治療社; 2022.
- Neogi T, et al. Arthritis Care Res (Hoboken). 2015 Sep;67(9):1304-15. PMID: 25777045.
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本記事の内容は一般的な医学情報であり、個別の診断や治療の助言ではありません。免責事項もあわせてご確認ください。

