最近、夕方になると靴がきつい。片方の足だけ腫れている気がする——そんな下肢のむくみに気づいたことはないでしょうか。むくみの背景にはいくつもの状態が隠れています。この記事では、むくみがどのような状態で起こるのか、その見取り図をお伝えします。原因を突き止めるための検査・治療は医療機関で行うものです。
この記事の要点
- むくみは、血管の外に余分な体液がたまった状態である。
- 「片側か両側か」「指で押すとへこむか」が、原因を考えるときの手がかりになる。
- 原因は心不全、腎臓の病気、甲状腺機能低下症、血栓、リンパ浮腫などさまざま。
- 片側の足が急に腫れ、痛みや熱感があるときは、血のかたまりのサインのことがある。
- 【受診の目安】むくみが続く場合や、片側に急に強く出た場合は、早めの受診がすすめられている。
受診するときに医師に伝えるべきこと
- いつから、どちらの足に(または両足に)むくみがあるか。
- 指で押すとへこむか、へこみにくいか。
- 息切れ、体重の急な増加、だるさ、寒がりなど、他に気になる症状があるか。
- 普段飲んでいる薬の一覧(お薬手帳があれば持参する)。
受診先の目安
まずは内科で相談できます。息切れを伴う場合は循環器内科、尿の異常を指摘されている場合は腎臓内科も選択肢になります。
※急ぎではない受診を考えるときの目安です。救急を要する場合は含みません。
この記事だけで自己判断をしないでください。むくみの原因はさまざまで、実際の診断には問診や検査が必要です。
詳しい解説
ここからは、上のまとめの根拠となるデータを順を追って説明します。
むくみが起きている状態
血管の中には常に体液が流れており、血管の壁を通して、水分の一部が周囲の組織(間質)ににじみ出たり、血管に戻ったりを繰り返しています。血管内の圧力(静水圧)と、血管内にタンパク質を保持しようとする力(膠質浸透圧)のバランスが崩れ、血管の外に出る水分が増えすぎると、周囲の組織に余分な体液がたまります。これがむくみ(浮腫)です。
むくみを考えるときの手がかりになるのが、「片側か両側か」と「指で押すとへこむか」の2つです。急に片側だけ腫れた場合と、両足がじわじわ腫れてきた場合とでは、考えられる原因が変わってきます。
原因として考えられるもの
むくみの原因はさまざまですが、代表的なものに次のような病気があります。
- 心不全: 心臓のポンプ機能が弱まり血液が戻りにくくなると、血管内に滞りやすくなります。息切れや、数日単位での体重の急な増加を伴うことがあります。
- 腎不全・ネフローゼ症候群: 尿にタンパク質が大量に漏れ出て血液中のアルブミンが減ると、血管内に水分を保持する力が弱まります。尿の泡立ちや、全身のだるさを伴うことがあります。
- 甲状腺機能低下症: 甲状腺ホルモンが不足し代謝が落ち込むと、寒がり・体重増加・便秘などとともに、むくみが起こることがあります。
- 深部静脈血栓症: 足の静脈に血栓ができて血流をせき止めると、片側の足に急な腫れが生じます。
- リンパ浮腫: リンパの流れが滞ると、タンパク質を含む体液が間質にたまりやすくなります。リンパ節を取る手術の後などに起こることがあります。
| 原因 | 片側/両側 | 押すとへこむか | 代表的な付随症状 |
|---|---|---|---|
| 心不全 | 両側性が多い | へこむ | 息切れ、体重の急な増加 |
| 腎不全・ネフローゼ症候群 | 両側性が多い | へこむ | 尿の泡立ち、全身のだるさ |
| 甲状腺機能低下症 | 両側性が多い | へこみにくいことがある | 寒がり、体重増加、便秘 |
| 深部静脈血栓症 | 片側性が多い | へこむ | 痛み、熱感、皮膚の色の変化 |
| リンパ浮腫 | 片側性のことが多い | 進行するとへこみにくい | 皮膚が厚く硬くなることがある |
こうした症状があるときは、早めの受診がすすめられる
下記に該当する場合、早めの受診がすすめられます。
- 片側の足が急に腫れる。
- 痛みや熱感を伴う。
- 皮膚の色が変わる。
これらの症状は、血管に血のかたまりができているサインであることがあります。むくみの多くはこうした緊急性を伴いませんが、片側の急な腫れ・痛み・熱感がある場合は、様子を見ている間に症状が進むこともあるため、早めの受診がすすめられています。
ただし、片側の腫れや痛みは血栓以外でも起こりえます。診療では症状の内容や経過を点数化した指標(Wells基準など)を使い、必要に応じて検査で確認するため、症状があるからといって必ず血栓とは限りません。逆に、血栓が太い血管まで及んでいない場合(末梢型)は症状がはっきりしないこともあり、症状がないからといって血栓がないとも限りません。
出典
出典の選び方については編集方針をご覧ください。
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- Chaker L, et al. Lancet. 2017 Sep 23;390(10101):1550-1562. PMID: 28336049.
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