日中の眠気が続く原因 —睡眠不足、睡眠時無呼吸、ナルコレプシー

夜はそれなりに寝ているはずなのに、昼間の会議でまぶたが重くなる。休日にたっぷり寝ても、眠気が抜けない。そんな日中の眠気が続いていないでしょうか。

眠気は「気の持ちよう」と片付けられやすい症状です。けれども原因は、睡眠時間の不足から、眠っている間の呼吸の病気、目覚めを保つ脳の働きの病気までさまざまで、原因によって対処が大きく変わります。この記事では、日中の眠気の主な原因と、それぞれを見分ける手がかりをまとめます。

この記事の要点

  • 主な原因は睡眠不足、睡眠時無呼吸、目覚めを保つ脳の病気など。
  • 中等症以上の睡眠時無呼吸は成人男性の約20%、閉経後女性の約10%。
  • 睡眠時無呼吸の治療(CPAP)を始めたあと、運転中の事故が大きく減っていた。
  • 肥満があれば減量、あわせて運動・禁煙もすすめられている。
  • 笑ったときに急に力が抜ける発作は、ナルコレプシーの手がかり。
  • 【受診の目安】十分寝ても生活に支障の出る眠気や運転中のこらえきれない眠気は、受診がすすめられている。

受診するときに医師に伝えるべきこと

  • 会議中、運転中、食後など、どんな場面で眠くなるか。
  • 寝る時刻・起きる時刻と、平日と休日の差(2週間ほどの記録があれば持参する)。
  • いびきや、寝ている間に呼吸が止まっていると言われたことがあるか。体重の変化はあるか。
  • 笑ったときなどに、急に体の力が抜けることがあるか。
  • 服用中の薬(市販薬を含む)と飲酒量(薬は自己判断でやめない)。
  • 交代勤務・夜勤をしているか。

受診先の目安

まずは内科で相談できます。いびきや、寝ている間の呼吸の停止を指摘された場合は、呼吸器内科も選択肢になります。いびき・鼻づまり・扁桃の腫れが気になる場合は耳鼻咽喉科も選択肢で、耳鼻咽喉科でもCPAPの治療を扱う医療機関があります。十分寝ても眠い、笑ったときに力が抜けるといった場合は、精神科や睡眠外来も選択肢になります。

※急ぎではない受診を考えるときの目安です。救急を要する場合は含みません。

この記事だけで自己判断をしないでください。眠気の原因はさまざまで、実際の判断には問診や検査が必要です。

詳しい解説

ここからは、上のまとめの根拠となるデータを順を追って説明します。

目次

日中の眠気の原因の見取り図

この章では、日中の眠気の原因の全体像を整理します。

最初に分けておきたいのは、「眠い」と「だるい(疲れ)」の違いです。カナダの神経内科医による総説は、眠気を「疲れ」として訴える人もいる一方で、疲れという言葉は眠気だけでなく、痛みや体の不調、うつも反映しうるとしています。会議や運転中に眠り込みそうになるのか、眠くはないが体が重く気力がわかないのかで、考える原因が変わります。だるさが中心の方は、疲れが取れないときの記事もあわせてご覧ください。

同じ総説によれば、日中の眠気の原因は幅広いものの、大半はいくつかのよくある状態で説明がつきます。この記事では、それを大きく3つと、薬・体の病気に分けて説明します。

日中の眠気の主な原因を分類した図。睡眠が足りない・ずれている(睡眠不足、交代勤務)、睡眠の質が下がっている(睡眠時無呼吸症候群)、目覚めを保つ脳の働きの病気(ナルコレプシー、特発性過眠症)の3つと、そのほかに薬(抗ヒスタミン薬など)と体の病気(貧血、甲状腺機能低下症など)。

睡眠不足と睡眠リズムのずれ

この章では、最初に確かめたい原因である睡眠不足と、睡眠のリズムのずれについて説明します。

先の総説は、眠気の原因として最初に確かめるべきものに睡眠不足を挙げています。多くの人に必要な睡眠は7〜9時間前後で、それより短い人が多いとされます。本人は足りていると思っていても、確かめる手がかりがあります。目覚まし時計がないと起きられないなら、睡眠が足りていない可能性が高いとされているのです。

交代勤務の人も、睡眠不足が積み重なるうえに、明け方の3〜5時ごろのように、もともと強く眠くなる時間帯に起きていることになるため、強い眠気が出ることがあります。

10代では、事情が少し違います。思春期には睡眠を調節するしくみが変わり、寝る時刻と起きる時刻が後ろにずれやすくなります。このずれは夜に光を浴びるとさらに強まり、朝早い始業時刻とかみ合いません。これが10代の睡眠不足の一因だと考えられています。厚生労働省の睡眠ガイドは、中高生に必要な睡眠時間の目安を8〜10時間としています。

睡眠時間の目安や、睡眠不足が体に起こす変化については、睡眠不足が体に起こす変化と病気リスクの記事で詳しく説明しています。

睡眠時無呼吸症候群

この章では、よくある原因の一つである睡眠時無呼吸症候群について、頻度と運転への影響、生活習慣の見直しを説明します。

睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、眠っている間に呼吸が止まったり浅くなったりをくり返す病気です。このうち、のど(上気道)が狭くなったりふさがったりして起こるものを「閉塞性」と呼び、この記事で扱うのはこのタイプです。先の総説によれば、睡眠不足や薬などを確かめたあとに残る原因として、最も多いものの一つです。

日本での多さ

日本呼吸器学会のガイドラインによれば、中等症以上の閉塞性睡眠時無呼吸は、欧米だけでなく日本を含む東アジアでも、成人男性のおよそ20%、閉経後の女性のおよそ10%にみられます。日本の1つの企業で働く男性約300人を自宅での検査で調べた研究でも、中等症以上が22.3%でした。

肥満は最も重要な要因ですが、それだけではありません。厚生労働省の睡眠ガイドは、小さい顎、顎が後ろに引っ込んでいる、首が短いといった体つきによって、太っていなくても起こりうるとしています。男性に多い病気ですが、女性では閉経後に増えます。

やっかいなのは、本人が気づきにくいことです。同じガイドは、閉塞性睡眠時無呼吸の人は自分の睡眠を実際よりよく見積もりやすく、眠気が当たり前になって自覚しにくいとしています。先の総説も、周りの人が気づいて指摘するときは、より注意が要るとしています。いびきや呼吸の停止を家族に指摘されることが、大事な手がかりになります。

居眠り運転と事故のリスク

医療機関に通う患者を中心に調べた研究をまとめた解析では、睡眠時無呼吸のある運転者の事故は、ない人の約2.4倍でした。ただし研究によるばらつきが大きく、論文は実際の値を「1.2〜4.9倍の範囲にあるだろう」としています。

一方で、治療で事故が減ることを示すデータもあります。CPAPは、寝るときに鼻に付けたマスクから空気を送り、のどがふさがるのを防ぐ治療です。治療を始める前と後の事故を比べた9つの研究をまとめた解析では、治療後の事故は治療前のおよそ4分の1(リスク比0.278)に減っていました。日中の眠気は治療1晩で、運転シミュレーターの成績は2〜7日で改善していました。日本呼吸器学会のガイドラインも、CPAPは睡眠時無呼吸の人の事故のリスクを下げるとしています。

ただし、治療すれば誰でも眠気がなくなるわけではありません。同じガイドラインによれば、CPAPの治療後も2〜6%の人では眠気が残ります。

減量・運動・禁煙

生活習慣の見直しも、治療の一部です。日本呼吸器学会のガイドラインは、肥満を睡眠時無呼吸の大きな、そして変えることのできる危険因子とし、肥満のある人には減量をすすめています。減量によって無呼吸が減ることも示されています。

運動では、有酸素運動と筋力トレーニングを組み合わせると、体重が減らなくても無呼吸が改善したという報告があり、同じガイドラインはこの組み合わせをすすめています。

喫煙は重い睡眠時無呼吸と関連しており、ガイドラインは禁煙すべきとしています。ただし、禁煙によって睡眠時無呼吸が改善したかどうかを調べた報告は、今のところありません。

一方で、生活習慣の改善だけで体重を10%以上減らせることは多くありません。そのためガイドラインは、減量だけで治療を済ませるものではなく、CPAPの代わりにもならないとしています。

子どもの睡眠時無呼吸

子どもの睡眠時無呼吸は、大人とは原因の事情が違います。米国の小児の専門医による総説によれば、子どもでは扁桃(のどの奥の左右にある組織)やアデノイド(鼻の奥にある組織)が大きいことが最も多い原因です。多くの子どもでは、その摘出手術が最初に検討される治療とされています。

十分寝ても眠い病気

この章では、睡眠時間が足りていても眠気が続く病気として、ナルコレプシーと特発性過眠症を紹介します。

ナルコレプシー

米国の神経内科医向けの総説によれば、ナルコレプシーのうち1型と呼ばれるタイプでは、日中の強い眠気に加えて、情動脱力発作という特徴的な症状がみられます。強い感情、とくに笑ったときに、急に筋肉の力が抜けるものです。全身の力が抜けて倒れることもありますが、首がかくっとなる、顔や手足の力が一瞬抜けるといった部分的な発作のほうが多いとされます。発作の間も意識は保たれています。

頻度は約2,000人に1人です。発症の時期には15歳前後と35歳前後の2つの山があります。ただ、10代の眠気で多いのは、前の章で見た睡眠不足とリズムのずれのほうです。

同じ総説によれば、症状が出てから診断されるまでには、平均で10年以上かかっています。眠気が「怠け」と受け取られやすいことも、その一因と考えられます。

特発性過眠症

特発性過眠症も、日中の強い眠気が続く病気です。夜に10〜11時間を超えて眠ることや、とても長い昼寝がよくみられ(必ずではありません)、長く寝てもすっきりしません。起きた直後のぼんやりした状態(睡眠酩酊)が強く長く続き、起きるのに人の助けが要ったり、完全に目が覚めるまで数時間かかったりすることもあります。

ナルコレプシー1型特発性過眠症
眠気の感じ方突然、眠気の発作が来る頭がはっきりしない状態がずっと続く
夜の睡眠途中で目が覚めやすい10〜11時間を超えることが多い
特徴的な症状笑いなどで急に力が抜ける(情動脱力発作)長く寝てもすっきりしない。起きたあと長くぼんやりする
出典: Trotti LM. Continuum (Minneap Minn). 2020 Aug;26(4):890-907. PMID: 32756227. をもとに作成

特発性過眠症の長い睡眠は、すべての人にみられるわけではありません。

薬・体の病気・むずむず脚症候群

この章では、見落とされやすいそのほかの原因をまとめます。

薬も眠気のよくある原因です。先のカナダの総説は、抗うつ薬、抗不安薬、痛み止め、抗てんかん薬など、脳や神経に作用する薬の多くが目覚めを妨げるとしています。市販薬も例外ではなく、抗ヒスタミン薬は眠気と関連します。お酒も眠気の原因になります。ただし、眠気が気になっても、処方された薬を自己判断でやめないでください。

体の病気では、貧血や甲状腺機能低下症(甲状腺ホルモンが足りなくなる病気)でだるさを訴える人が多く、肝臓や腎臓の病気、血液中の電解質の異常、全身の炎症も眠気につながることがあります。これらは、ふつうの診察と血液検査で見つかることが多いとされます。健診の結果があれば、受診のときに持っていけます。

むずむず脚症候群は、夕方から夜にかけて、脚を動かしたくてたまらない衝動が強くなる病気です。米国睡眠医学会のガイドラインによれば、週2回以上起こり、生活に影響する程度のものは成人の2〜3%にみられ、およそ9割の人で寝つきや眠りの維持が妨げられます。夜に脚を動かしたくなる感覚に心当たりがあれば、それも医師に伝えることができます。

こうした症状があるときは、早めの受診がすすめられる

下記に該当する場合、早めの受診がすすめられます。

  • 十分な時間眠っているのに、生活に支障が出るほどの日中の眠気が続いている。
  • 最近、運転中にこらえきれない眠気があった、または居眠りによる事故やヒヤリとした経験がある。

1つ目は、厚生労働省の睡眠ガイドの記載です。2つ目について、日本呼吸器学会のガイドラインは、強い眠気がある人や、最近眠気による事故やヒヤリとした経験がある人には睡眠時無呼吸の検査を積極的に行うべきとし、睡眠時無呼吸のある運転者でこうした経験がある人は治療を受けるべきとしています。

これらにあてはまるからといって、重い病気があるとは限りません。眠気の原因として最初に確かめるべきとされるのは睡眠不足です。睡眠時無呼吸であっても治療の方法があり、先の解析では、眠気は治療1晩で改善していました。

反対に、あてはまらないから大丈夫、ということでもありません。睡眠時無呼吸の人は、眠気が当たり前になって自覚しにくいとされています。家族からいびきや呼吸の停止を指摘されたときは、眠気の自覚がなくても、そのことを医師に伝えることができます。

出典

出典の選び方については編集方針をご覧ください。

  • Murray BJ. Can Respir J. 2016;2016:4215938. PMID: 27445538.
  • Hagenauer MH, et al. Dev Neurosci. 2009;31(4):276-84. PMID: 19546564.
  • 厚生労働省 健康づくりのための睡眠指針の改訂に関する検討会. 健康づくりのための睡眠ガイド2023. 2024.
  • Akashiba T, et al. Sleep Biol Rhythms. 2022 Jan;20(1):5-37. PMID: 38469064.
  • Nakayama-Ashida Y, et al. Sleep. 2008 Mar;31(3):419-25. PMID: 18363319.
  • Tregear S, et al. J Clin Sleep Med. 2009 Dec;5(6):573-81. PMID: 20465027.
  • Tregear S, et al. Sleep. 2010 Oct;33(10):1373-80. PMID: 21061860.
  • Bitners AC, et al. Lung. 2020 Apr;198(2):257-70. PMID: 32166426.
  • Trotti LM. Continuum (Minneap Minn). 2020 Aug;26(4):890-907. PMID: 32756227.
  • Winkelman JW, et al. J Clin Sleep Med. 2025 Jan;21(1):137-52. PMID: 39324694.

本記事の内容は一般的な医学情報であり、個別の診断や治療の助言ではありません。免責事項もあわせてご確認ください。

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